朝町の離れにある湖の畔、湖面はときおり陽の光を反射して輝き、返す波の音が響く。そんな穏やかな昼の湖畔で2つの影が並んで立っていた。。
「今更ですが…」
どこか重苦しい感じで、俯き気味に口を開く白衣の地龍。
「…ん?何だ」
そんな弟分の様子に対してもまるで動じず、それでいてその巨体同様全てを受け入れるかのような懐の深さも感じさせる感じを持つ水龍。ダニは静かに隣の太陽に目をやる。
「申し訳ない。と、謝罪だけはさせていただきますぞ。『あれ』を作ってしまった以上、私に責任があったわけですからな」
太陽の口元が形づくる、いつもの人を食ったような笑みにも今はどこか自嘲の色が浮かぶ。
ダニは横目でそんな太陽に直接何かを言う訳でもなく、横目でその姿を少しの間見つめ、そして僅かに目を細めた。
「気にするな…、『兄』だからこそ『先輩』だからこそ、やらねばならぬこともある」
これから起こるであろう、『それ』がいる目の前に視線をやり、ダニは静かに呟いた。
「どうしてもいかれるのですかな?兄は」
問いかけに答えるまでもないことは、文字通り日の目を見るより明らかな事だった。ただ、その先に浮かんでいるものを何としてでも助けるべく、ダニは動く。

「ん?」
ダニと太陽がそんなやり取りをしていた、ちょうど反対側の湖の端。釣竿を川辺に垂らし先ほどから釣りを嗜んでいた、金髪の小柄な少女の姿をした龍は目の前で何やら奇妙な光景が繰り広げられていることに気付き、細くしていたその瞳を大きく見開いた。


「おお、あんたもいたのか。それは迷惑をかけたな」
「なんにせよ、被害がなくてなによりです」
「この辺りで見慣れぬ光景がしたものでして。助太刀しようと駆けつけた次第でして」
こくこくと体格に不釣り合いなサイズの大きな三度笠を被った142番地の教会の光龍に、事態を説明する2人の龍。その傍らでは――――
「おお!なにやら新しいメンツが増えておるのう。そなたもなにか珍しいものでも食いに来たのか?」
乃亜と、乃亜がしがみつく地面に巨大な穴を開けて沈む、円盤状の巨大な鉄の塊と、その中から乃亜に齧られそうになって慌てて逃げ出そうとしている奇妙な頭部まで覆う一体化した服を着た人(?)の姿。
「本当に誤算でした…この間の乃亜さんたちとのご飯でヒントを得て、『空中華鍋』ならぬ『空中』華鍋を試しに作成してみたら、乃亜さんはそれに興味を持ってしまったみたいで…」
腕組みをしながら、しみじみと述懐する太陽。
「それにしても、あの変な格好の御仁はいったいなにものなのか?」
急に入ってきた、円盤状の乗り物を動かそうとする、恐らく朝町に迷い込んだであろう、今現在乃亜に食べられそうになっている『旅人(?)』を救出しようとするダニと(ノリで?) 『「助太刀」しようとするペーシェンス。騒動はとりあえず大騒ぎにならずに(?)落着しようとしていた。
「一宿一飯の恩義っていうのが、この町の習わし。今日から貴方の面倒を見ます…名前は…『カンベエ』!!」
「上手そうな名前じゃのう!!」
何やら面倒の種を作った気もしないでもなかったが。



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